中小企業の事業継続計画(BCP)

中小企業のBCPの目的

中小企業のBCPの目的は、三つあります。

(1) 災害・事故・事件(以下、「災害等」といいます)から従業員・関係者の命を守ること

(2) 災害等から会社、具体的には儲かる事業を守ること

(3) 近くにある企業・施設及び遠くの同業者と連携すること

三つ目の (3) は、東日本大震災の後に必要性が高まったもので、広域災害時に多忙となる消防や警察、行政の人手不足を共助で補完しようとするものです。
なお、大企業のBCPは、上記三つの目的に、(4) インフラの安定供給、(5) 国内外に渡るサプライチェーンの維持、(6) 関係マーケットの安定化、その他が加わり複雑になります。

 

命の次は仕事

最優先されるのは「人命の保護」です。次に必要となるのは「生活の安定」ですが、このためには「仕事」が必要になります。被災直後は仕事がなくとも支援物資で生活はできますが、仕事や業務をとおして社会貢献を志す方々の方が、人生に対して積極的になれ、寝たきりにならないと、阪神淡路大震災(1995年)と東日本大震災(2011年)後の複数の調査が示しています。

従って、被災後も企業が事業を維持し、雇用を守るのは、社会的な動物である「人」を守るために大変重要なことです。

 

まず、対象とする災害を選ぶ

災害等には、地震・水害・新型感染症・雪害・落雷・長期間の停電・ITテロ・放火など多様な被害が含まれますが、経営者が危ないと思っている災害等に絞ります。BCPの対象としては地震と水害が取り上げられる場合が多いと思われます。

次に、選んだ災害等により自社が被災した場合をイメージします。被災イメージが浮かばない場合は、ユーチューブなどにある動画を閲覧し、自社のイメージを構築します。被災イメージがないと対策を思いつきませんから、被災イメージを構築すること大変重要です。

 

なにを守るか

続いて、災害発生時に何を守るかを考えます。人命を守ることが最優先であることは全業種共通ですが、事業のために守るべき関係設備は業種により異なってきます。生産設備、販売設備などは業種により重要性に高低がありますから、重要性の高いものから対策を考えます。

建設業やIT業では、自社の被害確認・社屋復旧よりも関係地域や顧客会社の道路・設備などの被害確認・復旧を優先します。

 

手際よく守る

守るものの優先順位がある程度決まりましたら、それを手際よく低コストで守る方法を考えます。守る方法には、災害等の前に講ずる事前対策(予防対策)と、被災後に実施する事後対策(復旧対策と継続対策)があります。

事前対策の利点は、被災を軽減、場合によっては防止できることですが、対策が不要になる(イメージした災害等が発生しない)場合もあります。

事後対策は被災後の対策ですから無駄になることはありませんが、事前対策を怠ると被害の重症化と事業中断の長期化が起こり得ます。さらに、事業中断の長期化は廃業に至りかねないことも留意すべき点です。

 

守備の効率化

地震や水害の被害予想は、自治体(市町村)のハザードマップで確認できます。その地図から効率的に災害対策を講ずるのが、BCPです。

地震による揺れやすさが大きい場所では、制震システムが必要になりますし、液状化が懸念されるところでは、地盤改良などのハード対策が必要になります。

また、水害の直前対策や地震の発生直後に必要となるのがソフト対策です。代表的なソフト対策としては、以下のようなものがあります。

  • 避難方法、避難誘導
  • 救急救命、初期消火
  • 関係先への連絡・通報(消防・警察・行政・顧客・協力会社)
  • 備蓄品の管理・配布
  • 被害の確認方法と記録
  • 復旧計画
  • 被災時の財務

 

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